ICOプロジェクトを読み解く為に覚えておいても損はない10の視点
ICOに対する風向きが厳しくなっているが、それはかつての暗号通貨も同じこと。
紛い物や最初から悪意のあるもの、いい加減なもの、いわゆる『シット』が多すぎるからだと思う。
トークンプラットフォームが確立されてきた昨今、トークンが気軽に発行できるようになり、そういうシットが益々増えている。
明らかに浅はかで考慮不足なホワイトペーパーを作り、それっぽいサイトを構築し、トークンの販売時期を記し、総発行量を書き、チームがどの程度保有するかを書き、早期参加の割引率を載せ、チームのメンバーの顔を載せ、Slack、テレグラム、ツイッターのアドレスリンクを張る。
巷ではこういう『ザ・ICO』みたいなものが蔓延り、
もはやステレオタイプ化している。
しかも、筋の良さそうなICOも、クソみたいなICOも同じ形式なので判断は難しい。
個人的にはこの『ザ・ICO』のような感じにはそろそろ飽きてきたので新しい形のトークン販売方式などを見てみたいと思っているが、結構最適化されているようにも見える。
とはいえICOが全部クソというのも思考停止だろう。
中には良いものもあるだろうし、これから本気で活動しようとしているようなものも存在すると信じたい。
で、
このようなシットまみれの状況で、我々のような個人の貧乏な情弱暗号通貨ファンにはICOでリテラシーや経験や勘、そういうものが常に求められている。結局のところ自己責任であり、日本語情報が多かろうが、前評判が良かろうが、判断するのは自分である。
それならば自分の『判断力』を高めていくしかない。
最近ではICO格付けサイトみたいなものも結構増えてきているが、まだどこも成功したプロジェクトなど存在していない(価格高騰は成功ではない)ので眉唾と考えていい。
結局のところ、判断材料になるのは
- ホワイトペーパー
- チームメンバーの経歴や人物像
- 現在までに完成しているコード
ぐらいしかない。
ICOに金を出すような人間の9割以上はコードが読めるわけでもなく期待値で買う。
その期待値を算出するために読むのがホワイトペーパー(目論見書)になる。
で、
そのホワイトペーパーを読んだりする際に是非試してもらいたい事がある。
『どうでもいい情報を見抜いて捨てろ』
である。
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話は逸れるが、皆様はDJが出演するイベントのようなものに参加、もしくはビラを見たことがあるだろうか?あの手のイベントのDJやアーティストの紹介文は、中身を知っていればワロスな感じだったりするものが非常に多い。
ただの下手な横好きのオッサンDJが、まるで
地元のシーンを牽引してきた重鎮
のように書かれていたり、EDMしか聞かないような軽ビッチで3か月前にDJを始めたばかりのCDJキャバ嬢が
今後のシーンを担う注目の若手
DJになっていたりする。
適当に繋いで知り合いに配っただけのCD-Rで30枚焼いたMIXCDが
『リリース後 即日SOLDOUT』と表現されていたり。
少し前に話題になったこんな記事がある。
ここで実際に試してもらいたい
試しに適当に記載するとこうなる。
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DJ タヌ a.k.a gami
北の大地に産まれ、現在は海外に活動の拠点を移す。
過ごした年月と同じだけフロアからの信頼も厚く、豊富な国際感覚を元に培われた何が飛び出してくるか分からないプレイスタイルは一目置かれるほど。これまでにKoji Higashi、Ecobitman Takeshiらと共演。Vitalik Buterin、Roger Verらとも交流が深い。伝説のBitcoin Tokyo Meetupに出演。今後も目が離せない注目のDJだ。
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・・・と、このように、北海道出身で海外在住、海外旅行を経験し、Kjとネットで会話しVitalikとRogerが出演するイベントで本人を目撃しただけでここまで盛れる。(※これは例ですよ)
これをセルフプロデュースと言うのか、
それともクソ盛りと表現するかは皆様に委ねようと思うが、
こういうのがホワイトペーパーやマーケティングで頻繁に行われている気がする。
意識高い系というのか、Snobというのか、俗物根性というのか、
本質を隠し、あえて難解にし、なんとなく凄いと思わせる技術。
もはやScamに思えてくる。
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あるとき、気になったICO案件のトークンの用途が気になったので質問を投げてみた。すると以下の回答が来た。
(真面目な方が真面目に回答してくれた例なので内容は一部弄っている)
※先に断っておくが、これは特定のプロジェクトへの批判ではない。
投げた質問:このトークンの用途は何ですか?
相手の回答
このプロジェクトでは主に〇〇/〇〇技術を使った広告の新しいビジネスモデルを作ろうとしています。 そのコンテンツとして、〇〇〇、〇、〇、ゲームの制作が予定されています。ETHを使う必要性についてですが、現在〇〇空間に企業が広告を掲載してもマネタイズをする方法がありません。 今後、〇〇/〇〇技術の発展とともに〇〇空間を利用する人が増える傾向で予測されており、そうなった場合、広告の掲載に対する掲載料の適正化をすることが〇〇内では現時点ではできません。 例えば〇〇のように〇〇秒いくらという形の広告ではなく看板広告のイメージです。それを可能にするのがブロックチェーンであり、イサリウムです。具体的に言えば、視聴者はゲームやLIVEの空間の中で直接的・間接的に広告を見ることが予測されます。 その際にその視認した滞在時間やどの広告が見られていたかを計測することができます。 その計測結果をもとに広告主は広告料を支払いゲームコンテンツの製作者は報酬を得ます。そして、ホルダーも報酬を得ることができます。この仕組みの中では純粋なスマホゲームアプリのアイテムの課金やゲームのプレイ料をトークンに置き換えただけのビジョンではありません。 もちろんゲーム内のアイテムの課金としてトークンを使うこともあります。また、作られたAPIはオープンソースで他の企業が〇〇を作るのに役立ちます。 その際に別企業のVR空間を行き来することも可能にする計画です。そうするとトランザクションが複雑になり、また膨大になります。ですから、Plasmaに移行し、オンチェーンとオフチェーンに分けてトランザクションを生成し、広告料の支払いのための視認時間の計測の明瞭化と 報酬支払いの自動化をスマートコントラクトで実装する予定で開発が行われています。
・・・
この場合、
『プロジェクトのサービス内で使える通貨トークン』
というのが質問に対する回答だと思う。
数あるホワイトペーパーもそういう傾向があり、本来知りたい情報に中々たどり着けない事も多い。中には本来知りたい情報の記載がないものも多い。
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いつものように前置きが長くなったが、ここから本題。
個人的な見解なので決して参考にはしてほしくないが、
ホワイトペーパーや公式からの情報はこう読み解いていくと良い(早い)と思っている。
1.ホワイトペーパーに書いてある、対象プロジェクトのジャンルの経済規模、とりまく情勢などはどうでもいい
→関係ないから捨ててOK。ポエムが多い。
例:世界中で〇〇ユーザーは●●億人→だから何?お前らのやつ流行るの?的な
ここを読み飛ばすだけでホワイトペーパーの半分が終わるプロジェクトは結構多いw
2.ホワイトペーパーに書いてある、ブロックチェーン技術スゲェみたいな説明はどうでもいい
→大抵プロジェクトとあまり関係ないものが多いから流し読みでOK。ポエムが多い。
3.トークンの用途は最重要
→最重要。そのトークンが価値を維持できるのかがここに依存する。プロジェクトが素晴らしくてもトークンに用途が無ければ価値は無い。価値を維持させる仕組みがあるかどうかも含めて精査したほうがいい。実際に自分が使ってみたいサービスなのかも含めて考えると良い。
※用途がしょぼい/よく決まってないトークンは、ホワイトペーパーのそれまでの力説っぷりとは比べ物にならないほど、サラッと触れているだけのような物が多いw
例:某素晴らしいウォレットだけど変なICOするアレのホワイトペーパー
4.トークンを保持するメリットもしっかり読み解く
→3とほぼ同じ意味になるが、とても重要。持っているトークンと同じトークンが増えるだけのものはクソみたいなものが多い。(例エコビット)トークンの用途と合わせて良く考えてみると良い。値上がりを期待する以外のメリットがあると結構良い。消費するトークンなのか、保有特典があるトークンなのか、なども合わせて整理しておくと良い。
5.総発行枚数やICOでのトークン販売数はどうでもいい
→そもそもプロジェクトが成功しないと意味がないのでそこまで重要ではない。
短期で売り抜ける人には重要かもしれないが長期で見ればそれほど大したことではない。逆に販売数/発行数で、ある程度の経済圏が決まるので10年20年で考えるならそこそこ多い方が良い気もする、が、たいした問題ではない。先にコケるほうを心配した方がいい。
6.運営側のトークン保有量はちょっと見ておく
→運営がそこそこ持っている方が良い。自分たちが持っていないと価値を維持する理由は無くなる。販売を開始した瞬間に在庫を処分したい商店のオッサンのような感覚になる。なお、過去に全トークンを販売したICOがあったが運営は売り終わった時点でそれ以上頑張る理由がなくなり逃げ出した。流通数が少ないのにBurnする運営もいるが、5年後10年後を本気で考えているプロジェクトであれば気安くBurnすべきではない。足りなくなる。が、先にコケるほうを心配した方がいい。
7.ホワイトペーパーに書いてある、変な収支とかのグラフはどうでもいい
→絵にかいた餅だから読み捨ててOK。先にコケるほうを心配した方がいい。
8.ロードマップもどうでもいい
→日付や時期なんかは大体遅れるから読み捨ててOK。ただしコレから何をやっていくのかが書いてあるので参考になる。が、先にコケるほうを心配した方がいい。
9.チームメンバーはある程度見ておいたほうがいい
→詐欺師のような輩が居ないのが好ましい。おいしい思いをした奴らは何度でも繰り返すので。技術担当なのに複数のICOを渡り歩いているような輩は敬遠して良いと思う(途中で放り出している=無責任)
10.どう実現するか曖昧なものはポエム認定していい
→難しい言葉で誤魔化しているもの、具体性がないものはポエムだと思って良い。他にも、とりあえずICOして金を集めてからどうするか考える、といったものはクソだと思って良い。ビジョン、ある程度の実現方法の説明がないものはポエム。
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いい加減ICOバブルも弾けて『次のStep』に向かうような気がしてならないが、その『次のStep』に移行した後、短期でのキャピタルゲイン目的のアホ買いが無くなってからが本当のトークン経済なんかがやって来ると思う。
その時の為に、
ポエムなのか未来なのか
ワロスなのかマジなのか
Scamなのか失敗なのか
そういう目を養いながら、派手に失敗して、消耗していけば良いと思う。
なお、ワシは2017年に参加したICOは9割失敗している。BTCやETH、XEMで保持していれば良かったと後悔している。
ああああああああああああああああああああああああ~~
チックショー!
Fin