ベネズエラのペトロ(Petro)とかいう仮想通貨の現状
長いので忙しい人用に結論から先に書くと
「ペトロは8/20から流通開始と言ってるけど、まだ存在すら怪しい」
もはや語る程でもないのだが、ベネズエラ政府がペトロという仮想通貨(トークン)を発行した。2018年の2月ごろにICOというかトークンセールというか、売り出しが行われた。
2018年08月20日にこれを正式採用したとかなんとか。
今ちょうど盛り上がりを見せている(!?)感じ。
また、ベネズエラではローンチ日にあわせてハイパーインフレ解消のためにデノミが行なわれた。この辺りは一部の大手メディアなども盛んに報じている。
デノミというのはお金の価値が下がりすぎてしまったので桁をずらす事らしい。
まぁこの辺りの問題やなぜこうなってしまったのかは金融のキの字も知らん愚民のワシに聞かないで意識高い人の演説を聞いてきてください。
なお、以前はZeusExchangeが協力しそうな雰囲気を醸し出していたが現在ではトランプにビビりまくって全否定している。
また、NEM財団のスタンスは「政治には関わらないし使う人を選ばない」として言及を強烈に避けている。もちろんトランプの兼ね合いがあるだろうが、パブリックチェーンはあまり政治とは関わらないほうがいい。インターネットがあればどこでも誰でも使えるべきだろう。
で
1ペトロの価格は石油1バレルにペッグ(紐づけ)されるそうで、
ざっくりこんな感じだそう
コモディティ化というのか、モノ本位制の兌換紙幣というのかワシはアホなのでよくわからないが、実質ベネズエラの国債という人も居るが国債と呼べるような立派な代物でもなくポエムです。マドゥロポエムです。
で、さらに意味が分からないのがデノミで新紙幣を発行して通貨単位を「ボリバル・フエルテ」から「ボリバル・ソベラノ」に変えたわけで、このボリバル・ソベラノがペトロを軸にするとか。
よくわかりません。結局ドルにペッグさせた通貨を流通させたいだけなんじゃねぇのかと。
この辺りの話が伝わり、ペトロはScamだ!とか意味がない!とか酷い独裁者だ!とかいろいろ騒がれている。
で
そんな話はどうでもいい。
そもそもペトロどうなってんだよ、と。
~ここから本題~
以前この記事でもふれたようにペトロはNEMのブロックチェーンを使用したトークンという話で色々調べたりしていた。
が、まったく動きがない。
我が弟子の狸尊に監視を命じていたのだが、泣き言ばかり言って酒を飲んでいた。
全く使えない弟子だ。
もう一度言うが、全く使えない弟子だ。
で
ペトロはモザイクトークンという話だったので色々調べればわかるのだが、
そもそもICOですらロクに販売されていないと推測される。
もともと大統領はペトロの販売を通じ60億ドル超の調達を見込んでいた。
30億ドル調達したらしいが
嘘じゃねぇかと
(プレセール開始から)1週間後、ニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領は「Petro」が127ヵ国の投資家による171,015件の購入が認証され、30億ドルを調達したと語った。マドゥロ大統領によると、注文の大多数はドルによるもので、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)がそれに続く。
171,015件の購入
この数字を見る限りPetroはかなりバラまかれているような印象を受ける。
が
嘘くさい
生粋のNEM厨たるワシはNHKのホワイトハッカーばりにNEMのトランザクションを日々監視している。
ペトロがNEMのモザイクトークンという前提で話をするが、そんなに分散化されたトークンはまだNEMには存在していないのではないだろうか?
まず、現在ペトロに関連すると思われるトークンは以下
これらはすべて同じアドレスから発行されているモザイクになる。
この辺りは以下記事が詳しいので参照されたし
この中で最もアドレスが散っているモザイクトークンが
petro:icoというモザイクだ。
このような説明書きがある。
Description This token can not be moved. You will receive Petro at the end of ICO. Petro will be a sovereign crypto asset backed by oil assets and issued by Venezuela.
このトークンは移動できません。 あなたはICOの最後にPetroを受け取るでしょう。 石油は石油資産に裏打ちされ、ベネズエラが発行する国家の暗号である。
移動できないのは、ペトロのICOにはKYCがあったのでICOの権利を譲渡させないためと推測される。XEM盗難時に追跡モザイクがあったことは記憶に新しいだろう。NEMにはモザイクを組み合わせることによりプロトコルレベルで「券」と「その券を譲渡するために必要な券」を作ることができる。
petro:icoを第三者に渡すためにはpetro:presale_transferというモザイクが必要になる。
このトークンは202のアドレスに振り分けられている。
202だ。
少なくともNEMネットワーク上にはICO参加したと思われるアドレスが運営を含めて202しかないのである。
先ほどのコインチョイスの記事を見ると
副大統領のウェブサイトに投稿された情報によると、マドゥロ大統領はさらに「購入の40.8%はドルによるもので、6.5%がユーロ、18.4%がイーサリアム(ETH)、33.8%がビットコイン(BTC)、そして0.2%が元だった」と付け加え、下記のように述べた。およそ87,284ユーザーがPETROを購入するオファーを出し、そのうち3,523は企業ユーザーで83,761は個人ユーザーだった。現時点で127カ国が参加している
どう考えても少なすぎる
では別のトークンがICO参加者の証明になるのか?というとそうでもない。
もっとアドレス数は少ない。
なお、実際のペトロと思われるトークンはこちら
Petro is a sovereign crypto asset backed by oil assets and issued by the Venezuelan State as a spearhead for the development of an independent, transparent and open digital economy open to direct participation of citizens. It serve as a platform for the growth of a fairer financial system that contributes to development, autonomy and trade between emerging economies.
Petroは、石油資産に裏打ちされたソブリン暗号資産であり、ベネズエラ国は、市民の直接参加を可能にする独立した透明かつオープンなデジタル経済の発展の先頭に立って発行しています。 新興国間の開発、自治、貿易に貢献する、より公平な金融システムの成長のためのプラットフォームとして機能します。
こちらは2018/08/21現在まだ誰も手にしていない。
これが17万アドレスに振り分けられる日が来るのだろうか...
また、XEMBOOKさんに狸尊がこんな情報をもらった。
ペトロの公式サイトでダウンロードできるペトロウォレットはNEMのナノウォレットを一部改良した(クソ雑な)ウォレットだが、
その公式のウォレットではpresale:ptrというモザイクを表示する改良が入っている。
しかしそんなモザイクは存在していない
この辺りの情報から予想できる内容は
- そもそもNEMのチェーンを使わない(ERCやオフチェーン、その他など)
- 実はペトロはまだ設計をしている途中で声明だけ先走った
- モザイクの名前が違う
- 全部嘘さそんなもんさ
だいたいペトロはホワイトペーパーがクソ雑で、NEMと書いてあったりERC20と書いてあったりする。その後も修正されていない。
※輝くERC20の文字
ウォレットもクソ雑。
SNSアカウントに至ってはScam系ICO以下のクソっぷりだ。
ツイート数 1
フェイスブックも止まってる。
ダメだこいつら・・・
とある記事でこんなことを言っている専門家がいた。
「そもそもペトロはどこで上場しているのか?詐欺だ!」
なんと的外れなんだろう。
・・・ワシに言わせれば
少なくともNEMのチェーンには
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そして、これを書いているときに
やっとペトロのICOに参加した人とコンタクトが取れた。
彼が言うには
「ICOは米国のペトロに対する制裁(ドルとユーロで支払う方法のはく奪)と敵対的な報道が原因で失敗した。一時的なicoトークンはPetro:icoだ」
「現時点ではNEMのモザイクだがICOが最終的にクローズした後に必ずしもNEMを採用するとは限らない。それについての情報はまだない」
とのこと。